蓮は花の君子なり
~蓮に学ぶ~
渡邊利咲
7月頃、泥の中から顔を出して神秘的な花を咲かせる蓮の花。
古くから地下茎の蓮根と種は食用として、葉や花は茶として親しまれてきました。
蓮根は正月のお節料理にも登場し、多数の穴があいていることから「将来の見通しが良い」と縁起物として親しまれてきました。
蓮根にはビタミンC、食物繊維、タンニン、カリウムなどが含まれており、免疫力向上、高血圧予防、風邪予防、便秘解消など、多岐にわたり有用性があります。
蓮の実は薬膳食材に利用されており、胃腸の働きを助け、心の安定をもたらします。
ベトナム王室に伝えられてきた蓮茶は、蓮花の馥郁とした香りを楽しむため、蓮花の香りを緑茶に吸収させる技術を得てベトナム王室でも長年愛されてきました。
最も香りが高いと言われている蓮茶はタイ湖の蓮茶であり、1キロあたり2万5900円もするのだとか。
でも、その工程をみると高価なのも頷けます。早朝から大量の蓮の花を仕入れに行き、そこから手作業で花びらを取り除いて葯を取り出します。
葯はガオセンとも呼ばれるのですが、ガオセンと茶葉をまぜて蓋をして1日寝かせます。この作業を何度か繰り返し、熟成させて、さらにガオセンをまぶして熟成させるという作業を7~8回繰り返します。
100グラムの蓮茶には100個以上の蓮花が使われており、とても希少で手に入りにくいお茶の1つです。
蓮花の清らかな香りは主として葯から出ています。
蓮花は精油としても流通しており、鎮静作用があり心が平穏になるように導きます。
蓮花の花径は8cm~26cm以上と様々で、花弁数は25枚以下のものから1000枚以上もある花もあります。
そのなかでも近江妙連は蕾の状態で花びらが2000枚ほどで、開花すると5000~8000枚にもなるということです。
近江妙連は他の蓮とちがって種子ができないため地下茎で増やすしかないそうで、妙連が日本にきてから何百年もの間、人々の手で大切に育てられてきました。
妙連は平安時代に比叡山延暦寺の慈覚大師円仁により唐から持ち帰ったとされており、古い歴史があります。
しかし、日本にはもっと歴史の古い蓮があります。世界最古の蓮、大賀蓮です。大賀一郎博士は、1951年に千葉市近郊の東京大学総合運動場内(旧東京大学検見川厚生農場)の約2000年前の泥炭層から蓮の実を発見し、発掘の2年後に蓮を開花させました。
当初この蓮は「二千年蓮」と呼ばれていましたが、のちに「大賀蓮」と命名されています。
現在、東京大学総合運動場の近くの通りは「大賀ハス通り」と名づけられており、大賀ハスが発見された名残がみられます。
千葉公園は大賀蓮が栽培されており、ちょうど夏至あたりに満開の見頃を迎えますが、現在では大賀蓮は全国各地に広がって様々な場所で見ることもできます。
小山田蓮田緑地の大賀蓮
雨上がりの日、蓮の葉を見てみると表面に丸く水滴が溜まっていて、葉は濡れている形跡がありません。蓮の葉を顕微鏡で観察すると、その表面には10n㎛くらいのワックス様物質できた円柱が規則正しく並んでいます。
そのため、葉の上に水滴が乗っても広がることなく、ボールのように丸くなって流れ落ちていきます。このような撥水性の他に葉には防汚性があります。
葉についた水玉が移動する時、葉の表面にあるゴミも取り去ってしまうのです。これは「ロータス効果」と言われています。
私が子供の頃、ご飯をよそおうときのシャモジといえば、表面がつるつるしたシャモジでした。茶碗にご飯をよそおうときにシャモジにくっついてしまいますし、シャモジに米粒がたくさんついて洗うのも大変だったのを覚えています。
ご飯がくっつかないようにシャモジを水で濡らすのですが、濡らし忘れてしまうと悲惨なことになってしまいます。経験した方も多いのではないでしょうか。
ある日、母がなんとも奇妙なシャモジを買ってきました。表面に凸凹がありご飯がくっつかないのだと嬉しそうに話してくれました。
半信半疑で試してみると「これはすごい!」と感動しました。ご飯をよそおいやすいですし、汚れもつきにくいので洗うのも簡単でした。
その後、十数年の歳月が過ぎたある日、蓮について調べていたときのことです。葉の顕微鏡写真を見たとき、ご飯がくっつかないシャモジの表面のようだと思いました。規則正しく凸凹があるところがとても似ているのです。
そのときにシャモジもロータス効果を利用していることを知りました。
蓮の葉の素晴らしい効果を応用した製品は世の中に数多く存在します。
例えば、ヨーグルトの蓋、LED信号機、家の外壁、塗装など様々なものがあり、蓮の葉を応用した製品は防水性、防汚性とともに耐久性があるとも言われています。
蓮と宗教には深い関りがあります。仏教では仏様は蓮華にお座りになられています。
仏教には蓮の五徳(または「蓮の八徳」)というのがあり、悟りを開くための心の在り方を蓮の花になぞらえて説いています。
宗派によって解釈は多少異なるようですが、どの解釈も素晴らしい教えだと感じています。
1.淤泥不染 (おでいふぜん) の徳
蓮は泥のなかで育ちますが、泥に染まることなく美しい花を咲かせます。
人もどのように苦しい環境だとしても、自分自身がその環境に染まることなく、心は純粋で美しく在り続けるように、との教えです。
2.一茎一花 (いっけいいっか) の徳
蓮の花は1つの茎に1つの花を咲かせます。人間は同じ人はおらず、それぞれの性質や学び、生き方、魂の美しさがあり、唯一無二の存在です。
誰かと比べることなく、自分という美しい原石を磨くことが大切なのだと思います。
3. 一花多果 (いっかたか) の徳
「悟り」というのは無限の可能性を秘めています。一人の人間が真に目覚めて悟りを開いたとき、それは数えきれないくらいの人々の恩恵となり、多くの人々を幸せにします。
4.中虚外直 (ちゅうこがいちょく) の徳
蓮の茎は外は硬く中は空洞になって、中には空気が含まれています。この構造により浮力を利用して上へ上へと伸び、花を咲かせることができます。
また、茎には浄化力があり、水生生物の産卵場所としても役立っています。
蓮の茎は食材として、または民間療法として古くから利用されてきました。
「中虚外直の徳」とは我欲を捨てて悟りを開くための努力をしなさい、という教えです。
蓮のように周りの為に尽くし、慈悲の心を持ちつづける努力をすることが悟りへの道なのかもしれません。
5.花果同時 (かかどうじ) の徳
蓮というのは花が咲くと同時に実(種)をつけます。実際には花が咲き終わった頃に種ができるのですが、きっと「花果同時」に見えたのでしょう。
蓮の種は人間の仏性をあらわしています。どのような人も生まれた時から仏の心を宿しています。すべての人が仏性を宿しており、人は仏性があるから悟りを開くことができるのです。
本来、仏様であった人が、再び自分のなかの仏性に目覚め、本来の姿へと(仏へと)帰っていきます。
法華経に登場する常不軽菩薩 (じょうふきょうぼさつ) という仏様がいらっしゃいます。耳にされた方もいらっしゃるのではないでしょうか。
この菩薩様はすべての人を軽んじることなく、出会うすべての人に合掌して拝んだといいます。なぜなら全ての人々はいずれ仏様になるので、人々の中の仏性を敬い、手を合わせていました。
拝まれた人々は嬉しいと思う人もいたかもしれませんが、なかには馬鹿にされたと勘違いして腹を立てる人や、心無い人々からは罵詈雑言を浴びせられたり、石を投げられたこともあったそうです。
それでも常不軽菩薩様は人々の仏性に手をあわせ拝み続けました。
どのような扱いを受けても人々を拝み、敬うことをやめませんでした。
実際に、仏教でなくてもどのような教えでも、すべての人々のなかには純粋で美しい光の種が存在し、それを「仏性」と呼んだり、「神性」と呼んだりしています。
そして、いずれ全ての人々が本来の姿に戻っていくのだと思います。
ロータス(蓮)のフラワーエッセンスは様々なブランドから出ています。
パワーオブフラワーヒーリング(以下「POF」という。)のロータスのフラワーエッセンスは霊的な学びを促進するために摂ることができます。
スピリチュアルな情報を学んだり神聖な領域を体験していくにつれて「私は○○を知っている」というエゴが出てくるようになります。周りの人が経験していない体験に優越感を抱き、自分は優れていると思い込みます。
これは「スピリチュアルエゴ」とも言われ、誰でも一度は通る道です。
ロータス(POF)のフラワーエッセンスは自分がもつスピリチュアルエゴやプライドに気づくよう促してくれます。私自身、スピリチュアルエゴやプライドを経験しているとき、何度もPOFのフラワーエッセンスに助けられてきました。エゴを一掃することで再び他者への理解や愛を促進してくれる素晴らしいエッセンスです。
また、POFのロータスは第7チャクラを調整してハイヤーセルフと繋がっている頭頂のチャネルを開きます。それにより高次の知識や理解などを得られる助けをします。
PHIのロータスのフラワーエッセンスでは全てのチャクラにバランスをもたらしてくれます。
チャクラは発電機の役割もあり、光の自家発電をできるようにしてくれます。光はプロテクションや癒し、免疫力の向上、若返り、霊的な理解のために大切なものです。
チャクラを健康に保つことは霊的な進化のプロセスを歩むうえでも大切な要素の1つになり、人間の精神性を高めるためにもロータスのフラワーエッセンスは非常に役に立ちます。
興味深いことにオーストラリアンブッシュフラワーエッセンスというブランドから出ているレッドリリー(蓮)は、他のブランドとは異なる特性を持っています。
アボリジニの精神性は大地と深く繋がっているといいます。この特性がレッドリリーのエッセンスにも表れていて、レッドリリーは日常生活に精神性を取り入れるために役立ちます。スピリチュアルな道を歩むとき、瞑想や内面のワーク、学びに力を入れるのも素晴らしいことですが、同時に仕事、家事、育児などもこなすことが望ましいと言われています。
でも、瞑想中に至福の感覚を味わったあとに日常生活に戻るのは、非常に困難に感じる人もいるでしょう。なぜなら極度の幸福感を味わったときの波動と日常生活の波動の落差が大きいからです。
至福の感覚を味わったあとに日常の波動にチューニングするのは、まるでジェットコースターで高い所から一気に急降下するような感覚を味わいます。
しかし、しっかりと大地にグラウディングすることで、急降下する感覚を和らげることが可能です。
波動の高低を無理なく行き来できるようになりますので、精神世界と現実世界の両方を大切にすることができます。
レッドリリーのエッセンスは、クラウンチャクラを開くと同時にしっかりとグラウディングさせてくれます。
霊的な学びは精神面だけではなく、現実面からも学ばなくてはならないことを教えてくれているかのようです。
2025年7月12日公開
渡邉 利咲(わたなべ りさ)
フラワーエッセンスプラクティショナー。パワーオブフラワーヒーリング、PHI、バッチフラワーエッセンスを中心に様々なエッセンスを扱う。現在は東京都練馬区で「Flower essence centre Roraima」を主宰。
著書『幸運が舞い込むフラワーエッセンスアバンダンス』
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創刊号『虹とフラワーエッセンス』「虹の七色~繋がりを越えた繋がり」
第2号『豊かさへといざなう花の療法』「新しいパラダイムにおける豊かさ」
第3号『星とフラワーエッセンス』「花咲く窓辺で本を片手に」~「石榴吸ふいかに愛されても独り」
第4号 『フラワーエッセンスと薬用植物』「ハーブに学ぶ調和のとれた人間関係」